2011年12月18日

スカイライン -征服-

鑑賞映画館:DVD
鑑賞日時:11月10日
評価:B

原題:Skyline
製作:2010年 アメリカ
監督:
グレッグ・ストラウス
コリン・ストラウス
出演:
エリック・バルフォー
スコッティ・トンプソン
ブリタニー・ダニエル
デイヴィッド・ザヤス
ドナルド・フェイソン
クリスタル・リード
ニール・ホプキンス

映画生活 goo映画


※ネタバレを含む場合があります。


この映画はロサンゼルスを舞台に、突然飛来した巨大UFOによる宇宙人の侵略を描いた作品です。
軍隊と宇宙人との戦いといったものも一部描かれはしますが、基本的には巻き込まれてしまった一市民を描き続けていくのが特徴で、巨大な生物兵器が暴れ回る雰囲気や、現場に居合わせた人の視点に近い映像を多用する手法はクローバーフィールドを彷彿とさせるものがあります。

まぁ、低予算ながら頑張りましたといったところでしょうか。
確かにいろいろと安っぽい部分は散見されます。
宇宙人や、その生物兵器の造形も安っぽいですし、舞台はほぼ一つのマンションの中だけ、それもほとんどは同じ部屋の中と屋上だけで話が進行していくと言っていいくらいに場面が変わりません。
出演者陣もなんとも地味で、派手なアクションシーンなど望むべくもありません。
しかし、意外なまでに見ていられる映画としてまとまっていた印象です。

特に、クローバーフィールドを思い出させるような出演者視点に近く、限定された視点で状況を追い続けるカメラワークが印象的で、次に何が起きるかわからない、そして一つの危機から脱出できたかと思えば次の危険が迫っているというスリル感の連続を演出できていますし、クローバーフィールドのように劇中で登場人物が撮影していたとい縛りもないことからある程度俯瞰した絵も入れられ、何が起こっているか全くわからなかったあの映画と比べれば遥かにわかりやすいものになっていると言えるでしょう。

マンションの一つの部屋からあまり動かずに話が展開していくことも、やや退屈な部分は否定しませんが窓の外で展開している非日常と部屋の中に残った日常という対比を作り出せていますし、そしてそうであるからこそ、どうしたらいいか全くわからない状況の中で少しでも元の日常に近い方で身を守りたいという意識も理解でき、同じ部屋からあまり動こうとしないという部分にある程度の説得力も持たせられています。

VFXに関してはいろいろ言ってもハイドラックス制作の映画です。
この予算規模の作品としては奇跡的なくらいによくできていますし、これだけでも見る価値があると言えるでしょう。

ですので、もしこの映画がそれなりに納得できる終わり方をしていれば、私はいい評価を出していたと思います。
しかし、どうにも終わり方が納得できません。

宇宙人は地球人の意思や行動をコントロールする技術を持っていました。
彼らが発する光を見ただけで地球人は思考を乗っ取られてしまうのです。
そして、その結果多くの地球人が抵抗もせず、彼らに捕まったのです。
こうして捕えられた地球人は宇宙人により解体され、その脳を利用して新たな宇宙人の尖兵が作られていったのです。
この部分もいろいろ言いたいこともないわけでもないのですが、まぁ使い捨てと現地調達可能な高度な処理装置として脳を使われているのだと考えれば、これはこれでいいでしょう。
人型ではないもう少し大きな生物兵器にも内部に人間の脳のようなものがあったことを考えると、宇宙人の戦法は地球人の脳そのものを利用して現地(地球)で兵器を生産し、そして侵略するというところにあったと考えられます。
あまり趣味のいいものではないとは思いますが、面白い発想ではあると思います。

しかし、宇宙人に捕らえられ、変わり果てた主人公がヒロインを助けようとして終わるラストは一体何なのでしょうか。
彼が宇宙人のコントロールを脱出する有効な能力を持ち得たことは断片的ながら一応描写されているので良しとするにしても、肉体的な能力では周りの同類と全く同じでしかなく、これではどう見ても多勢に無勢、映画のラストシーンの数秒後に惨殺されて終了だろうとしか思えません。
百歩譲ってアメコミヒーローのような力を彼が手に入れてヒロインを救うという展開がこのあとされるとしても(続編の話があるようですし、こうなりそうな気配濃厚なのですが……)これはこれでこの映画の中でそれまで展開されていた圧倒的な現実に対抗する無力な個人という悲壮な流れを全く無視したデタラメな超展開でしかありません。

もうどうしたらいいのだろうと思ってしまうようなラストで、様々な異星人侵略ものの要素をぶちこむだけぶちこんだあげくにまとめきれなくなった脚本家が、どうしようもなくなって無理やりな思いつきで終わらせたとしか思えないような代物です。
別に宇宙人を倒してのハッピーエンドでなければならないとは言いませんし、何か高尚なメッセージを出せとも言いません。
見ていてもう少し納得できる流れにしてくれたらそれでよかったのですが……。






posted by lasta at 17:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | さ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月11日

GAMER



※ネタバレを含む場合があります。

この映画は、ネットワークを介して人間の脳をコントロールする技術が実用化された近未来を舞台にしたSF映画です。

この映画ならではと言っていい部分は、ナノ細胞と呼ばれる特殊な細胞を脳に注入することで行われるネットワーク越しの行動のコントロールで、この技術をネットゲームという娯楽として一般社会に提供しているというところでしょう。
登場するゲームは2つで、1つはセカンドライフ的なSNSのアバターを実際の人間をコントロールすることで行う「ソサエティ」。もう一つが死刑囚をコントロールすることで実際にフィールド上で殺し合いが行われるFPS的な「スレイヤー」
この2つです。

なるほどと思わせる設定ではあります。
ソサエティに関しては、そこで行われていることはやや爛れているとはいえ危害が加えられるようなものではありませんし、特殊な技術で他人に行動をコントロールされることによる人間としての尊厳云々という問題はあっても、それはあくまで希望者のみで、誰も強制しているわけではありませんし、本人も納得しての話です。報酬もあります。
もちろん、実際には他にろくに仕事もない貧困層が僅かな収入と引き換えに他人に支配される、言葉は悪いですが奴隷になるというものだったりするのですが、ゲームへの俳優としての参加という形にすることで、富裕層には娯楽を、貧困層には仕事と収入を提供することができるという、福祉や行政による富の再分配が崩壊した未来社会では大きな社会貢献事業とすら言えるものになっているのです。

もう一つのゲームである「スレイヤー」は死亡率がやたらと高い戦闘ゲームで、その非道さも出演が死刑囚に限られているということで正当化されているものです。
このゲーム、どう見てもとんでもない量の死刑囚を消費している、つまりそれだけの死刑囚が供給されているということになりますので、いったいこの時代はどれだけ治安が悪いのかと思ってしまいもするのですが、極端な不況下での治安悪化に対抗するには面白い手法で、何しろ行政の立場から言えば本来出さないといけないはずの刑執行に対する費用を出さずに済むどころか、プレイヤーからの参加費の一部が収入として入ってくることも期待できる。そして、このシステムを維持するための費用は強制的な税金ではなく、あくまで娯楽として参加するプレイヤーが自発的に供出する参加費によって賄われるという、まさに夢のようなシステムだったりします。
さらに、ここで行われる戦闘を中継して見せることが直接ゲームに参加していない多くの人たちの娯楽にもなり、この部分での広告収入すら見込めます。

よく考えると酷い話ではあるのですが、閉塞した状況における一つの階級社会を現代の延長線上に作りだした面白い設定とは言えるでしょう。
で、この映画、このような基本的なところでは光る部分がありながら、肝心の話がどうにも投げやりと言いますか、それらしい要素を適当に集めてぶちまけて終了したとでも言いますか、もうちょっとどうにかならないかと思ってしまうような出来だったりするのです。

ストーリーは行き当たりばったり的ですし、アクションものとしても戦闘シーンそのもののできは悪くないものの比較的陰惨な画面が続き、爽快感はいま一つです。もちろん粗は多いです。
特に気になる点はゲームを動かしている主体であり、物語の一つの極と言っていいプレイヤーの描き方が中途半端すぎる点で、それなりに面白いキャラ立てがしてあり、うまく使えば良いストーリテラーになりそうな描き方がされていながら、ゲーム中はただ足を引っ張るだけの邪魔な存在にしか見えず、クライマックスシーンでもなぜそこでからんで来るのか伝わってこない(もちろん、よく考えれば理解はできるのですが)という、なんとも微妙な感じになってしまっています。

思うに、この映画は2時間程度の一作品に無理にまとめてしまうよりも、テレビシリーズとして半年や1年くらいのある程度の長期間に放映する作品として作った方が良かったのではないでしょうか。

ある程度の長い時間をかけてきっちり描いていけば、他人に行動を支配され無慈悲な殺し合いを強制されている葛藤からシステムの破壊に向かう主人公、システムを通して社会を牛耳ろうとする悪役としての開発者、そして本来は中立から開発者寄りの立場ながら主人公とコミュニケーションを取っていくことで次第に主人公サイドになびいていくプレイヤーという三者を中心とした面白いストーリーが作れたように思えます。
そして、この三者三様の話をベースに謎解き的な部分を入れていけば、本編では一応入れてみました的な消化不良感があった主人公が収監された理由に関する部分や、レジスタンスの活動と言ったものも、非常に面白い要素になりえたのではないでしょうか。

なんにせよ面白いアイデアを映像化している割に全体に消化不良感が付きまとってしまう、かなり残念な感覚を抱いてしまった映画です。
派手に色々やろうとしていながら地味な印象だけが残ってしまうことも含め、せっかくのいい材料を料理しそこなった失敗作と言えるのかもしれません。





posted by lasta at 11:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | か行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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