2012年10月09日

アイアン・スカイ


鑑賞映画館:TOHOシネマズなんば
スクリーン10
鑑賞日時:10月1日
評価:A-

原題:Iron Sky
製作:2012年 フィンランド ドイツ オーストラリア
監督:ティモ・ヴオレンソラ
出演:
ユリア・ディーツェ
ゲッツ・オットー
クリストファー・カービー
ウド・キア
ステファニー・ポール

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※ネタバレを含む場合があります。

ナチのUFOが来襲する!
ある年代の、この手の怪しげな話が好きな人は思わず苦笑してしまうネタでしょう。
20年ほど前にエルンスト・ツンデル等のかなり怪しげな人たちが提唱し、日本では矢追純一が当時人気があったUFO特番の中で紹介したトンデモな話のひとつで、その突飛なアイデアとUFOの下部に戦車の砲塔を取り付けたようなあまりにも胡散臭い写真で多くの人の心をとらえてしまったものです。
大戦略や鋼鉄の咆哮のようなゲームに登場してしまったりする程度には知られているネタではあるものの、やはりナチという色々と微妙な要素を含んでいることもあってか意外と映画化はされておらず、現代に至っては知る人ぞ知るネタとなってしまっていた感もありました。
それが何を思ったか、元ネタの南極からさらに話が飛躍し、月から地球を攻めてくるというとんでもないものとして映画化されてしまいました。

正直言ってネタがネタだけにかなりトンデモなバカ映画だと思って見にいったのですが…、良くも悪くもかなり裏切られました。
これはナチというガジェットを使って表現した現代社会の風刺映画です。

月という閉鎖された社会で現代まで生き延びてしまったナチの体制や思想が現代アメリカの共和党の主義主張とマッチしていたりとか、アメリカがとにかく横暴で自分勝手に大暴れしているだけとか、国際社会が表向きは仲良くやってるのに実際は約束事を誰も守ってないとか、とにかくあまりにもブラックジョークすぎて笑っていいのか悩んでしまうようなネタが思い切り並べてあったりします。
特に北朝鮮の発言など失笑せずにはいられないでしょう。

後半では月から来襲するナチの飛行船型宇宙船(笑)の大艦隊とそれに対抗するアメリカを初めとする地球各国の宇宙艦隊というスタートレックを思わせるような場面もあるのですが、その場面を見て思い出しました。
これの製作国はあまりにも出来が良すぎてかえって扱いが難しい怪作パロディ「スターレック」を作ってしまったフィンランドです。
そう思えばこの映画全体に流れている超大国の価値観を冷めた目で眺めている価値観も、映像や細かいネタの意外なまでの出来の良さも納得がいくというものです。

あくまで社会風刺映画ですし、ブラックなネタが当たり前に出てきますので万人向けとは言えないとは思いますが、この系統の映画にありがちな、不愉快な映像や一つの思想に誘導するようなメッセージを並べるだけというような製作者の自己満足的なものに終始しているのではなく、あくまで娯楽映画として楽しめるものとしてきっちりまとめられていて、この手の映画としては近年まれに見るくらいの面白さがあるのではと思えます。

個人的には何でナチの総統が親衛隊全国指導者の制服を着て元帥杖を持っているのだろうと、そういうどうでもいいことが気にはなりましたが。





posted by lasta at 20:12 | Comment(0) | TrackBack(1) | あ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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