2012年11月04日

神秘の法


鑑賞映画館:なんばパークスシネマ
シアター8
鑑賞日時:10月21日
評価:B-

原題:神秘の法 The MYSTICAL LAWS
製作:2012年 日本
監督:今掛勇
出演:
子安武人
藤村歩
平川大輔
柚木涼香
三木眞一郎

映画生活 goo映画



※ネタバレを含む場合があります。

この映画はやたらと広報映画を作ることで知られる宗教団体「幸福の科学」製作によるアニメ映画です。ファイナル・ジャッジメントに引き続き見る機会がありましたので、一応確認しておくという意味で見てきました。
感じたのは、宗教団体のプロパガンダ映画としては意外なくらいにエンターテインメントしているというところでしょうか。

大まかなストーリー的には悪の帝国に侵略され日本という名前すら奪われた日本を舞台に、不思議な少女と出会うなどして自分の使命や特殊な能力を認識した青年が、秘密組織を率いて世界征服を目論む独裁者と戦うという、非常にどこかで聞いたことのあるものではあります。
しかしながら、どこかで聞いたようなストーリーということは、裏を返せばそれだけ普通に見れる娯楽アニメになりえるというわけです。
作画的にも演出的にも(クライマックスでやや残念なことになりはするものの)かなり高品質で、一場面一場面を見る限りは昨今の多くのアニメ作品と比べても決して見劣りはしません。
特に中国…ではなくゴドム帝国海軍の攻撃シーンなど感涙ものの描写がされているくらいで、かなり素晴らしいと言いきれます。

さらに言えば幸福の科学映画のお約束とも言える終盤の(内容的には薄ら寒い)演説シーンも、子安武人の名演もあってこの前の実写版などと比較すれば圧倒的に見ていられる場面になっていました。
アニメの出来としてはかなりいい方だと言えると思います。

しかしながら非常に残念なことに、脚本…あるいは原作の問題かもしれませんが、ストーリー展開が破綻しているとしか言いようのない酷いものなのです。
驚きの展開と奥深い設定などと言えば聞こえはいいのですが、つまりは伏線すらろくに張られているわけでもない行き当たりばったりなストーリー展開に、とにかく話を無理に大きくすればいいんだとでも言わんばかりで、ほとんどストーリーには活かされていない大げさな設定とその場限りの登場人物のオンパレードという作劇の基本を全く無視していると言いたくなるような酷いものなのです。

描かれていることを子細に見ていっても、愛と調和を訴えながら近隣諸国を憎悪していることを隠しきれていないとか、憲法9条があれば絶対に交戦できないという妙な信仰を持っているとか、アジア人=悪、白人=善だが日本人は白人に特別に認められている的な人種差別思想が垣間見えるとか、アフリカを提供しようみたいな発想に愛と調和を重んじるらしいベガ星人が何も疑問を持っていないとか、ヤマタノオロチがいつから日本の守護者になったんだとか、それはどうなんだという部分はいくらでも出てきます。
しまいには陰謀論の世界では毎度おなじみのレプティリアンまで登場するのですが、これがまた何か意味ありげでありながら実はただの賑やかしというかなりどうしようもない存在だったりするのです。

もちろん、この映画があくまで宗教の広報映画であり、その教義を伝えることを第一義にしているということを考えれば娯楽映画としての作劇は二の次三の次なのは仕方のないことではあるのでしょう。
しかし前半の良さに比べて後半になるに従って画面上の派手派手しさの割に面白くないという印象を強く感じてしまうのもまた確かで、娯楽映画としてはかなり低い評価になってしまうのはやむを得ないでしょう。
投入する要素をもっと減らすなりして全体の設定をきっちりとまとめ、登場人物の設定や行動、特に脇役の配置をもう少し見直せば、もっと普通に楽しめる娯楽アニメになりえただろうと思うと非常に残念な感じです。

まぁ、信者の方にとっては荒唐無稽なアニメの設定ではなくリアルな近未来の話なのでしょうから、どうしようもないことではあるのでしょうが。





posted by lasta at 13:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | さ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月01日

宇宙戦艦ヤマト2199 第三章「果てしなき航海」

鑑賞映画館:大阪ステーションシティシネマ
スクリーン3
鑑賞日時:10月18日
評価:A-

原題:宇宙戦艦ヤマト2199
第三章「果てしなき航海」
製作:2012年 日本
監督:出渕裕
出演:
菅生隆之
小野大輔
鈴村健一
桑島法子




※ネタバレを含む場合があります。

リメイクされた宇宙戦艦ヤマトシリーズのイベント上映も今回で三回目。
太陽系を出たヤマトがガミラスという敵を断片的に知っていく様子がいくつかのエピソードを通して描かれていきます。
今回は旧作ヤマトで描かれていたエピソードを大まかに踏襲しながらも、それぞれかなりのアレンジが加わり、オリジナルエピソードと言ってもいいものになっているのが特徴と言えるでしょう。

出来としては相変わらずかなりいいと言えます。
圧倒的な勢いで引っ張ってきた第2章までと比較すると割と落ち着いた雰囲気になっているためやや評価が分かれるのは間違いないところではあるのですが、旧作でもこのあたりは割と淡々とした単発のエピソードが続いていくところではありますので、オリジナル要素は強いものの意外に旧作に忠実な作りと言えるかもしれません。
また、第2章まではSF的リアリティを追求した描写が多かったのですが、今回は昔のヤマト的な大らかさも散見され、エンディングテーマに返り咲いた「真赤なスカーフ」と合わせてこれまで以上に旧作のファンに配慮しているようにも思えます。

そういうわけで今作はこれまでと比較してやや地味なのは否めないのですが、数光年離れた場所から見える過去の地球や、ガミラス内の立場等による考え方の違いも描写されていてなるほどと思わされる部分は多いですし、イズモ計画に関する部分や森雪の記憶など、全体のストーリーに関わる伏線となりそうなものもかなり見受けられ、見るべきところは多いように思えます。

中でも9話はガミロイドとアナライザーの交流を軸にSF色がかなり強いオリジナルエピソードで、旧作から逸脱した感もあり受け入れ難いと思う人もかなり多いかとは思います。
しかしながら、この回は機械と人間の違いを前面に出して人間とは何かを問いかけるSF的なテーマを描きつつ、今後の大きな伏線となりそうな「女神」やクルーの人間性について描いているなど、なかなかの意欲作だと感じます。
ですので、このエピソードについては基本的には評価したいところなのですが、残念なことにこの回は演出や構成にはかなり力が入っているものの、設定があまりにも杜撰だと感じます。
何しろ、ブービートラップのシステムがまだ生きている戦闘機械をろくなセキュリティ対策もされていない無人のラボに放置していたり、接続可能な四肢をすぐ脇に放置していたり、艦の基幹ネットワークへの侵入を簡単に許してしまったりと、いつもは鉄壁なまでに様々な状況への対応を考えている真田さんとしては、あまりにも脇が甘すぎるのです。
この回で描かれているエピソードそのものはそれほど重要なものではなく、あくまで細かいところに散りばめられた伏線こそが重要ではあるのでしょうが、どうせ作るのなら見た目の文学的美しさだけではなく、もうひとひねりして作品としての説得力を上げた方がよかったのではないかと思えます。

全体として見れば、今回も光る部分は非常に多く、丁寧な作りであることは感じられるもののやはり中だるみの印象は否定できません。
シリーズとして考えた場合、このあたりで一旦落ち着かせることは大事なことではありますし、元々のヤマトからしてこのようなものでしたので否定するつもりは毛頭ありませんが、ドメル将軍との対決などを控え、これからの巻き返しに期待してなりません。





posted by lasta at 23:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | あ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。