2012年12月23日

黄金を抱いて翔べ


鑑賞映画館:MOVIXココエあまがさき
シアター8
鑑賞日時:11月30日
評価:B-

原題:黄金を抱いて翔べ
製作:2012年 日本
監督:井筒和幸
出演:
妻夫木聡
浅野忠信
桐谷健太
溝端淳平
チャンミン
西田敏行

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※ネタバレを含む場合があります。

この映画は90年に発表された高村薫の同名小説の映画化で、社会の裏側で強かに生きる者たちが銀行の地下金庫を破り金塊を盗み出そうとするという筋書きの話です。

人物の描き方は泥臭い人間像を描かせたら右に出る者がいないと言っていいほどの井筒監督なだけに、確かに鬼気迫るものがあります。
特殊な状況でのドロドロとした人間模様を描いているという意味では一見の価値はあるでしょう。

しかし、どうにも腑に落ちない映画と感じます。
何より、彼らがなぜ大銀行の金庫を破ろうというとんでもないことに挑戦しているかが全く伝わってきません。
首謀者からして家族を無くしたあとの自暴自棄での犯行というならまだしも、元気にいるうちから金庫破りをすることを決めてしまっている感じですし、なぜそんな無茶なことをするのか、仮に成功したとして何があるのか、その後どうするつもりなのか等、犯行の背景的なものが全く伝わってきません。犯罪を遂行しようという課程で家族を消されてしまうという悲劇に襲われても、そんなことより金庫破りをすることになってますという感じしか受けません。
何か特殊な美学なり何なり彼を犯罪へと突き動かすものでもあればそれでも良いのですが、それすら感じることができず本当にただ台本に金庫を破ると書いてあるから金庫を破ることにしますといった程度の説得力しか感じられません。現状を変えるために金庫を破らざるをえないというような強烈な動機など全く感じられないのです。
首謀者からしてこうでは他の参加者の動機など全く意味不明で、酒飲み話で怪気炎をあげただけなのを何故か本当に実行してしまってるといったレベルの話でしかありません。

話の展開、特に金庫を実際に破る場面などもう無茶苦茶としか言いようがなく、行き当たりばったりの杜撰な計画が警備や警察その他の間抜けな協力で何故か成功してしまうといった感じで、敢えて言えば同類であろうオーシャンズのような駆け引きの面白さなど微塵も感じられません。
細かいことは気にするなと言わんばかりの派手なアクションでもあれば評価もまた変わってくるのかもしれませんが、そういう映画でもありません。

そういうわけで、社会の裏側で必死に生きる人達という特殊な人間像そのものは悪くないものの、ただそれだけの映画だと感じてしまいます。
何より、大胆な犯罪をやろうというストーリーでありながらなぜそんなことをやるのかというところが全く伝わってこない時点で致命的なのではとすら思えます。

大阪を舞台にしながら必ずしも町に馴染みきれていない流れ者の主人公達といった雰囲気作りは非常に良くできているだけに、原作を含め何か根本的なところで自分には合わないタイプの映画なのだろう、そう思えてしまいます。





posted by lasta at 14:46 | Comment(0) | TrackBack(3) | あ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月10日

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q


鑑賞映画館:MOVIXココエあまがさき
シアター6
鑑賞日時:11月20日
評価:B+

原題:ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
EVANGELION:3.0 YOU CAN (NOT) REDO.
製作:2012年 日本
監督:
庵野秀明(総監督)
摩砂雪
前田真宏
鶴巻和哉
出演:
緒方恵美
石田彰
林原めぐみ
宮村優子
坂本真綾

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※ネタバレを含む場合があります。

前作「破」から3年。満を持してエヴァの新作が帰ってきました。
能など日本芸能でよく用いられる序破急の区分から引用された「急」をさらに捩った「Q」をサブタイトルに用い、前作「破」で昔のテレビ版から一歩踏み出したオリジナルストーリーをさらに加速させたものとなることはそのタイトルからも予想されたものでしたが……

驚きました。
いきなり何の説明も何の伏線もなく14年後に話が飛んでしまいますし、これまで全く語られてもいない反ネルフ組織ヴィレだの、空中戦艦AAAヴンダーだのといった呆気にとられるとしか言い用のないガジェットや展開が圧倒的な説明不足のまま連発されていきます。
破で語られた展開はどこへやら、最後にあった予告すらも完全に無視され、何か意味有りげな単語を羅列したセリフ回しや何か物凄いことをやっているようだが何をやっているかは全然わからないアクションシーンが連続し、終わったときには全く納得ができないような理解が追いついていないような感じで劇場から放り出されるような状態で、一つ一つを整理して考察していってもどうにも納得のいく解釈には辿りつけず、誰かと考察をぶつけあいたくなってくる……

そして唐突に気が付きます。
ああ、これがエヴァだ。
庵野の奴、またやりやがった、と。

この感覚は物議を醸したTV版エヴァの終盤、そしていわゆる旧劇場版でも感じたものです。
そして、どれだけ考察したところでそれはただ思わせぶりな設定を組み合わせただけで中には何も無いという徒労感を再び感じざるを得ないのではという感覚でもあります。

なのではっきり言って、今作だけを見て評価をするのは不可能に近いのではと思えます。
設定に疑問が出るところは山のようにあり、語ろうと思えばいくらでも語れそうではありますが、あまりにも判断材料が不足している今は避けておきたいと思います。

ただ、これだけは感じます。
かつて庵野監督は自分のアニメ作品の中に、これは絵だ、現実に戻れというメッセージを入れてしまった人です。
そして今作の中で見られたエヴァの呪縛に囚われたために14歳から成長できなくなったパイロットの存在。これはエヴァという呪縛に囚われていつまでも「成長できない」ファンに対する強烈な意趣返しなんだろう、と。





posted by lasta at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(1) | あ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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