2010年04月22日

第9地区

第9地区 [DVD]

鑑賞映画館:TOHOシネマズ西宮OS スクリーン7
鑑賞日時:4月14日
評価:A-

原題:District 9
製作:2009年 南アフリカ、アメリカ
監督:ニール・ブロムカンプ
出演:シャールト・コプリー デヴィッド・ジェームズ ジェイソン・コープ ヴァネッサ・ハイウッド

映画生活 goo映画





※ネタバレを含む場合があります。

SFは現実社会の様々な事象を、その特殊な世界に仮託して表現されてきた歴史があります。
中でも異星人は、多くの場合に自分たちに害をなす理解困難で異質な者として、あるいは時として互いの努力により相互理解や共闘が可能な者として、外人の暗喩として使われることが多いモチーフです。
そしてこの映画では、これがかなり露骨に描かれます。

何しろこの映画での宇宙人は難民です。
本来持っているはずの高い技術もろくに活かすことができず、人道とはほど遠い理由で隔離地域に生存を許されているだけのひ弱な存在です。
そしてその隔離された状況で、ただ生存するためだけに生き延びているような状態ですら周辺住民には嫌悪されているのです。

これは舞台が南アフリカ、ヨハネスブルクということもあって、明らかにアパルトヘイトの暗喩と言えるでしょう。
さらに言えば、特定の民族や宗教といったどうしても見る側の立場により異なった印象を与えがちのものを描いているのではなく、宇宙人という架空の、そして完全に理解不能の少数派を差別対象にすることで、あまり好ましくないとされながらも普遍的と言っていい排他性やレイシズムのような感情を描き出し、見る側にとって身近なところにある別の差別を想起させるという、見事な舞台装置になっているのです。
そして、本来は差別する側の人間だった主人公が突発的な理由で差別される側に立たされるという筋書きを見せることで、この状況の空しさを見せていくのです。

といってもこの映画はただの人権啓発映画ではありません。
むしろ、そういった人権運動すら嘲笑してしまうくらいに社会を冷めた眼で見つめた娯楽映画なのです。

というわけでかなりよくできたSF映画です。
あまり一般受けするような作りではないのは確かですが、一見の価値がある映画だとは言えるでしょう。

個人的には後半が普通のSFアクション風になってしまうのが少し残念で、最初のドキュメンタリータッチのまま最後まで架空のドキュメンタリー風に、全ての映像は監視カメラ等々で偶然撮られた絵を再編集したものという風でやってくれた方が良かったかな、とは思いましたが。

posted by lasta at 15:19 | Comment(0) | TrackBack(1) | た行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/147379406
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

「第9地区」こんな映画、見たことない!
Excerpt: [第9地区] ブログ村キーワード  これは、今までに吾輩が見たことのない類の映画でございました。「第9地区」(ギャガ GAGA★)。いやあ、ホントに衝撃的な映画でしたわ。  南アフリカ、ヨ..
Weblog: シネマ親父の“日々是妄言”
Tracked: 2010-04-28 15:18
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。