※ネタバレを含む場合があります。
今まで多くのアニメが実写化されてきました。
その多くは元の作品の世界観を壊しただけで新たな魅力を作り出すこともできず、ファンの失望や怒りとともに歴史の中に消えていきました。
そして去年の今頃、またひとつ人気アニメの実写化が発表されました。
その名は「宇宙戦艦ヤマト」
知らぬ者はいない、偉大な作品です。
この作品を実写化するというだけでも恐れ多い話だというのに、主演はアイドルとしてはともかく俳優としての評価は必ずしも高いとは言えないキムタク。
さらにヒロインの森雪に大胆な設定変更が入れられていることをはじめ、多くの設定に変更が入っているという情報が入っています。
はっきり言って、ここまで地雷臭のする映画は珍しいくらいでした。
映画館で予告編を見てもその感は変わることはなく、むしろネタ映画として楽しんでこよう、そのくらいの気持ちで劇場に行きました。
が、その気持ちは冒頭でいきなり裏切られます。
普通に見ていられるのです。
確かに、映像も演出もハリウッド制作の大作SFに比べれば遥かに劣ります。
スタートレック・エンタープライズやバトルスター・ギャラクティカといったテレビドラマにすら劣っているかもしれない程度です。
しかし、日本のSF映画もやればできるじゃないかという域に達していたのもまた確かです。
各キャラクターの設定変更も特に気になるものでもなく、むしろ女性を増やすことで現代的なイメージを作り出すことさえできています。
リファインされた艦載機のデザインもなかなか良いものがありますし、アニメよりも少し上の世代としてアレンジされた古代と島も悪くはありません。
昔のファンには気に入らない点になるであろうガミラスの大幅な設定変更も、これはこれで現代のSFドラマ的な雰囲気を作り出すことができています。
なんとなくスタートレックのボーグを思い出す集合生命体の設定や、なんとなくロミュランの艦艇を思い出す艦艇デザインだったりするのは、制作側がそのあたりを意識しているのでしょうか。
もちろん、粗は多いです。
特に時間に対して内容を詰め込みすぎた感が非常に強く、一つ一つの場面があまりにも早足で進みます。
この結果イスカンダルまでの距離感や時間の感覚が無さすぎ、すぐ近くの星にちょっと行ってきたという感すらあります。
また、おそらくはこの手のSF映画としてはかなり少ない製作費の都合ではあるのでしょうが、セットの一つ一つが妙に安っぽく、明らかにそこらのPCのキーボードがそのままコンソールパネルとして使われているなど、非常にチープな臭いがします。
多くの問題があることは間違いないところでしょうが、前後篇に分けたうえで、今作の数倍の予算を使って撮るべきだったのでは、そう思えます。
設定の粗も気にはなります。
特に、今回のガミラスの設定では地球を攻める必然性が今一つ見えてこないのです。
このあたりはもう少し詰めた設定が必要だったのではと思えます。
また、やや冗長なラブシーンも気にはなります。
ただ、これは日本の映画にはありがちなものですし、考えてみれば昔のヤマトでも冗長なラブシーンはありましたので、まぁ良しとしましょう。
しかし、これだけ粗があるとはいえ、意外なまでに見ていられる映画だということもまた確かです。むしろ、面白いと言っていい域にすら達しています。
どちらかというとアメリカのSFテレビドラマの臭いが強く、はっきり言ってギャラクティカの二番煎じ的な雰囲気もあるため、いわゆるアニメファンにはちょっとお勧めしにくい部分はありますし、昔のアニメシリーズの設定を少しでも変えると気に入らないという熱心なファンの方は最初から見に行かない方がいいとは思いますが、日本のSF映画もここまで来たという意味で見て損は無いと言える作品ではないでしょうか。
posted by lasta at 01:10
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