2012年11月01日

宇宙戦艦ヤマト2199 第三章「果てしなき航海」

鑑賞映画館:大阪ステーションシティシネマ
スクリーン3
鑑賞日時:10月18日
評価:A-

原題:宇宙戦艦ヤマト2199
第三章「果てしなき航海」
製作:2012年 日本
監督:出渕裕
出演:
菅生隆之
小野大輔
鈴村健一
桑島法子




※ネタバレを含む場合があります。

リメイクされた宇宙戦艦ヤマトシリーズのイベント上映も今回で三回目。
太陽系を出たヤマトがガミラスという敵を断片的に知っていく様子がいくつかのエピソードを通して描かれていきます。
今回は旧作ヤマトで描かれていたエピソードを大まかに踏襲しながらも、それぞれかなりのアレンジが加わり、オリジナルエピソードと言ってもいいものになっているのが特徴と言えるでしょう。

出来としては相変わらずかなりいいと言えます。
圧倒的な勢いで引っ張ってきた第2章までと比較すると割と落ち着いた雰囲気になっているためやや評価が分かれるのは間違いないところではあるのですが、旧作でもこのあたりは割と淡々とした単発のエピソードが続いていくところではありますので、オリジナル要素は強いものの意外に旧作に忠実な作りと言えるかもしれません。
また、第2章まではSF的リアリティを追求した描写が多かったのですが、今回は昔のヤマト的な大らかさも散見され、エンディングテーマに返り咲いた「真赤なスカーフ」と合わせてこれまで以上に旧作のファンに配慮しているようにも思えます。

そういうわけで今作はこれまでと比較してやや地味なのは否めないのですが、数光年離れた場所から見える過去の地球や、ガミラス内の立場等による考え方の違いも描写されていてなるほどと思わされる部分は多いですし、イズモ計画に関する部分や森雪の記憶など、全体のストーリーに関わる伏線となりそうなものもかなり見受けられ、見るべきところは多いように思えます。

中でも9話はガミロイドとアナライザーの交流を軸にSF色がかなり強いオリジナルエピソードで、旧作から逸脱した感もあり受け入れ難いと思う人もかなり多いかとは思います。
しかしながら、この回は機械と人間の違いを前面に出して人間とは何かを問いかけるSF的なテーマを描きつつ、今後の大きな伏線となりそうな「女神」やクルーの人間性について描いているなど、なかなかの意欲作だと感じます。
ですので、このエピソードについては基本的には評価したいところなのですが、残念なことにこの回は演出や構成にはかなり力が入っているものの、設定があまりにも杜撰だと感じます。
何しろ、ブービートラップのシステムがまだ生きている戦闘機械をろくなセキュリティ対策もされていない無人のラボに放置していたり、接続可能な四肢をすぐ脇に放置していたり、艦の基幹ネットワークへの侵入を簡単に許してしまったりと、いつもは鉄壁なまでに様々な状況への対応を考えている真田さんとしては、あまりにも脇が甘すぎるのです。
この回で描かれているエピソードそのものはそれほど重要なものではなく、あくまで細かいところに散りばめられた伏線こそが重要ではあるのでしょうが、どうせ作るのなら見た目の文学的美しさだけではなく、もうひとひねりして作品としての説得力を上げた方がよかったのではないかと思えます。

全体として見れば、今回も光る部分は非常に多く、丁寧な作りであることは感じられるもののやはり中だるみの印象は否定できません。
シリーズとして考えた場合、このあたりで一旦落ち着かせることは大事なことではありますし、元々のヤマトからしてこのようなものでしたので否定するつもりは毛頭ありませんが、ドメル将軍との対決などを控え、これからの巻き返しに期待してなりません。





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2012年10月09日

アイアン・スカイ


鑑賞映画館:TOHOシネマズなんば
スクリーン10
鑑賞日時:10月1日
評価:A-

原題:Iron Sky
製作:2012年 フィンランド ドイツ オーストラリア
監督:ティモ・ヴオレンソラ
出演:
ユリア・ディーツェ
ゲッツ・オットー
クリストファー・カービー
ウド・キア
ステファニー・ポール

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※ネタバレを含む場合があります。

ナチのUFOが来襲する!
ある年代の、この手の怪しげな話が好きな人は思わず苦笑してしまうネタでしょう。
20年ほど前にエルンスト・ツンデル等のかなり怪しげな人たちが提唱し、日本では矢追純一が当時人気があったUFO特番の中で紹介したトンデモな話のひとつで、その突飛なアイデアとUFOの下部に戦車の砲塔を取り付けたようなあまりにも胡散臭い写真で多くの人の心をとらえてしまったものです。
大戦略や鋼鉄の咆哮のようなゲームに登場してしまったりする程度には知られているネタではあるものの、やはりナチという色々と微妙な要素を含んでいることもあってか意外と映画化はされておらず、現代に至っては知る人ぞ知るネタとなってしまっていた感もありました。
それが何を思ったか、元ネタの南極からさらに話が飛躍し、月から地球を攻めてくるというとんでもないものとして映画化されてしまいました。

正直言ってネタがネタだけにかなりトンデモなバカ映画だと思って見にいったのですが…、良くも悪くもかなり裏切られました。
これはナチというガジェットを使って表現した現代社会の風刺映画です。

月という閉鎖された社会で現代まで生き延びてしまったナチの体制や思想が現代アメリカの共和党の主義主張とマッチしていたりとか、アメリカがとにかく横暴で自分勝手に大暴れしているだけとか、国際社会が表向きは仲良くやってるのに実際は約束事を誰も守ってないとか、とにかくあまりにもブラックジョークすぎて笑っていいのか悩んでしまうようなネタが思い切り並べてあったりします。
特に北朝鮮の発言など失笑せずにはいられないでしょう。

後半では月から来襲するナチの飛行船型宇宙船(笑)の大艦隊とそれに対抗するアメリカを初めとする地球各国の宇宙艦隊というスタートレックを思わせるような場面もあるのですが、その場面を見て思い出しました。
これの製作国はあまりにも出来が良すぎてかえって扱いが難しい怪作パロディ「スターレック」を作ってしまったフィンランドです。
そう思えばこの映画全体に流れている超大国の価値観を冷めた目で眺めている価値観も、映像や細かいネタの意外なまでの出来の良さも納得がいくというものです。

あくまで社会風刺映画ですし、ブラックなネタが当たり前に出てきますので万人向けとは言えないとは思いますが、この系統の映画にありがちな、不愉快な映像や一つの思想に誘導するようなメッセージを並べるだけというような製作者の自己満足的なものに終始しているのではなく、あくまで娯楽映画として楽しめるものとしてきっちりまとめられていて、この手の映画としては近年まれに見るくらいの面白さがあるのではと思えます。

個人的には何でナチの総統が親衛隊全国指導者の制服を着て元帥杖を持っているのだろうと、そういうどうでもいいことが気にはなりましたが。





posted by lasta at 20:12 | Comment(0) | TrackBack(1) | あ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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