2014年01月08日

ゼログラビティ

鑑賞映画館:TOHOシネマズなんば
スクリーン4
鑑賞日時:12月31日
評価:A-

原題:Gravity
製作:2013年 アメリカ
監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:
サンドラ・ブロック
ジョージ・クルーニー
エド・ハリス

映画生活 



※ネタバレを含む場合があります。

この映画は宇宙望遠鏡のメンテナンス作業中に発生した事故で孤立無援の危険な状態に陥ったスペースシャトルのクルーが地球に帰還する姿を描いたもので、舞台は宇宙ではあるもののストーリーそのものはかなりオーソドックスな脱出劇になります。

見どころは圧倒的なまでの映像でしょう。
宇宙、そして宇宙から見た地球の姿は非常に美しく幻想的で、そしてそうであるが故にそこが人間が本来生きていくことができない死の世界であるということを印象的に描き出すことができています。
3Dの使い方も非常によく音の使い方もかなり効果的で、本当に宇宙で撮影してきたと言われても信じてしまいそうなほどの出来です。
まさに一見の価値があります。
3Dの映画はこれまでにいくつも作られてきていますが、少なくとも映像、演出で言えば最高レベルの一つだと間違いないなく言えると思います。

ストーリーそのものは非常にありがちな、それこそ今までいくら作られてきたかわからないような、次から次に襲いかかってくる危険と戦いながら危機を脱出するというただそれだけの、はっきり言ってかなりデタラメなものではあるのですが、舞台を宇宙という使い古されてはいても今までになかったような圧倒的な映像と演出を駆使することで、オーソドックスなストーリーを新たな舞台でやるという娯楽映画の王道中の王道を作り出すことができているわけです。
かなりいい出来の映画です。

ただし、序盤の宇宙に放り出されるシーンが一番盛り上がり、その後はずっと同じような危機と脱出を繰り返しているだけに思えてしまうのが非常に残念です。
これはかなり後半になるまで場面がずっと宇宙でほとんど代わり映えしないせいというのも大きいのでしょうが、大気圏突入シーンのようなシーンですら言うほどの盛り上がりがあるわけでもなく淡々と数々のイベントをこなしていった中の一つという感じになってしまってます。
このせいで最後の重力がある陸地に戻ってこれたという本来は大きな感動とカタルシスがあるはずの部分がやや白けた印象になってしまうのです。
クライマックスに何かもうひとひねりして大きく盛り上がれるような場面を作れたら映画への印象はだいぶ変わったように思えます。
たとえば途中で描かれた自分を助けるために犠牲になったベテラン飛行士の姿を夢?で見て危機を脱出するヒントを得る場面を大気圏突入の場面に入れ込み、失敗の危機をベテラン飛行士のアドバイスですんでのところで回避して地球へ帰還することができたといったことを描いていれば、ここで大きなカタルシスが得られたよのではないでしょうか。

そういう意味で映像や個々の演出はかなりいい出来ではあるものの見終わったあとに物足りない感覚が残ってしまうことは否定できず、もう一捻り何かがあればもっと見応えのある傑作になりえたのではという感想を抱いてしまいます。






posted by lasta at 21:41 | Comment(0) | TrackBack(13) | さ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月04日

神秘の法


鑑賞映画館:なんばパークスシネマ
シアター8
鑑賞日時:10月21日
評価:B-

原題:神秘の法 The MYSTICAL LAWS
製作:2012年 日本
監督:今掛勇
出演:
子安武人
藤村歩
平川大輔
柚木涼香
三木眞一郎

映画生活 goo映画



※ネタバレを含む場合があります。

この映画はやたらと広報映画を作ることで知られる宗教団体「幸福の科学」製作によるアニメ映画です。ファイナル・ジャッジメントに引き続き見る機会がありましたので、一応確認しておくという意味で見てきました。
感じたのは、宗教団体のプロパガンダ映画としては意外なくらいにエンターテインメントしているというところでしょうか。

大まかなストーリー的には悪の帝国に侵略され日本という名前すら奪われた日本を舞台に、不思議な少女と出会うなどして自分の使命や特殊な能力を認識した青年が、秘密組織を率いて世界征服を目論む独裁者と戦うという、非常にどこかで聞いたことのあるものではあります。
しかしながら、どこかで聞いたようなストーリーということは、裏を返せばそれだけ普通に見れる娯楽アニメになりえるというわけです。
作画的にも演出的にも(クライマックスでやや残念なことになりはするものの)かなり高品質で、一場面一場面を見る限りは昨今の多くのアニメ作品と比べても決して見劣りはしません。
特に中国…ではなくゴドム帝国海軍の攻撃シーンなど感涙ものの描写がされているくらいで、かなり素晴らしいと言いきれます。

さらに言えば幸福の科学映画のお約束とも言える終盤の(内容的には薄ら寒い)演説シーンも、子安武人の名演もあってこの前の実写版などと比較すれば圧倒的に見ていられる場面になっていました。
アニメの出来としてはかなりいい方だと言えると思います。

しかしながら非常に残念なことに、脚本…あるいは原作の問題かもしれませんが、ストーリー展開が破綻しているとしか言いようのない酷いものなのです。
驚きの展開と奥深い設定などと言えば聞こえはいいのですが、つまりは伏線すらろくに張られているわけでもない行き当たりばったりなストーリー展開に、とにかく話を無理に大きくすればいいんだとでも言わんばかりで、ほとんどストーリーには活かされていない大げさな設定とその場限りの登場人物のオンパレードという作劇の基本を全く無視していると言いたくなるような酷いものなのです。

描かれていることを子細に見ていっても、愛と調和を訴えながら近隣諸国を憎悪していることを隠しきれていないとか、憲法9条があれば絶対に交戦できないという妙な信仰を持っているとか、アジア人=悪、白人=善だが日本人は白人に特別に認められている的な人種差別思想が垣間見えるとか、アフリカを提供しようみたいな発想に愛と調和を重んじるらしいベガ星人が何も疑問を持っていないとか、ヤマタノオロチがいつから日本の守護者になったんだとか、それはどうなんだという部分はいくらでも出てきます。
しまいには陰謀論の世界では毎度おなじみのレプティリアンまで登場するのですが、これがまた何か意味ありげでありながら実はただの賑やかしというかなりどうしようもない存在だったりするのです。

もちろん、この映画があくまで宗教の広報映画であり、その教義を伝えることを第一義にしているということを考えれば娯楽映画としての作劇は二の次三の次なのは仕方のないことではあるのでしょう。
しかし前半の良さに比べて後半になるに従って画面上の派手派手しさの割に面白くないという印象を強く感じてしまうのもまた確かで、娯楽映画としてはかなり低い評価になってしまうのはやむを得ないでしょう。
投入する要素をもっと減らすなりして全体の設定をきっちりとまとめ、登場人物の設定や行動、特に脇役の配置をもう少し見直せば、もっと普通に楽しめる娯楽アニメになりえただろうと思うと非常に残念な感じです。

まぁ、信者の方にとっては荒唐無稽なアニメの設定ではなくリアルな近未来の話なのでしょうから、どうしようもないことではあるのでしょうが。





posted by lasta at 13:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | さ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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