2013年06月30日

図書館戦争

鑑賞映画館:TOHOシネマズ梅田
シアター3
鑑賞日時:5月28日
評価:A-

原題:図書館戦争 LIBRARY WARS
製作:2013年 日本
監督:佐藤信介
出演:
岡田准一
榮倉奈々
田中圭
福士蒼汰
西田尚美
橋本じゅん
相島一之
栗山千明
石坂浩二

映画生活 



※ネタバレを含む場合があります。

この映画は有川浩原作の同名小説の映画化で、有害図書に対する強権的な検閲や押収、廃棄が実行されている世界で、図書館という検閲からの聖域を守るための防衛組織である図書隊の一員となった少女を描いた作品です。

なるほどなかなか面白い作品です。
基本的には自衛隊のような武装組織に入隊した夢見る少女の成長物語で、話としては比較的オーソドックスな青春もの、あるいはラブコメだと言えます。
しかし、これを図書隊という特殊な組織を舞台にすることで、自衛隊的な特殊な環境での特殊な人間関係を描きながら、自衛隊そのままでは描き辛い設定や展開、たとえば自衛隊を実戦に投入させようとするとどうしても必要になってくる諸外国との関係のような細かい事象をスルーさせて描くことがることができるという、非常に上手い構成で描き出しているのです。

もちろんこの作品もアニメ、あるいはライトノベルの実写化ではあり、過去に作られた多くの同様の作品と同様にキャラや世界観を実写という別の、そして演じる俳優によってキャラの印象を大きく歪めがちなメディアにどう落とし込むかという問題を抱えてはいます。
この点については図書隊を自衛隊的に解釈しすぎている(というよりほとんど陸自そのものになっている)感は否定できないものの、全体としては非常によくできていると思えるものとしてまとまっていました。
特に主役を演じた岡田准一、榮倉奈々は、キャラを演じている云々以前にこの2人のために原作が書かれたのではと思えるほどのなりきりぶりで、俳優とキャラが合ってないという実写映画によくある問題とは無縁の出来です。
これは他のキャラについても言え、アニメ版との解釈の違いはあってもむしろこちらの方がいいというような描き方をされているところが殆どだと感じました。
敢えていえば小牧2正が・・・なキャラになってしまっていましたが、この程度の改変はむしろ無いと面白くない部類と言えるでしょう。

図書隊が必要最低限の武装をした自主警備組織という本来の設定を逸脱し、殆ど完全に陸自の普通科連隊になってしまっていることはやはり気になる点ではあります。
ただ、これは演出的にも図書隊を自衛隊的に、対する良化隊を警察の機動隊的に描いたことがいいコントラストになっていますし、良化隊がやっている検閲行為が警察による防犯や治安維持を目的とした行動の延長線上にあるということや、それに対する図書隊があくまで「専守防衛」を旨とする防衛機関であるということもよく表しているでしょう。

もちろん細かく考えればそれこそ図書隊の成立から何からそれはどうなんだというような設定や描写は散見されます。はっきり言ってデタラメです。
と言いますか、元々原作からして女性作者ということもあるのでしょうが、かなりありえない世界観、ありえない舞台設定でかなり奔放かつコミカルに(しかし細い心理描写等は非常にリアルに)描かれた作品だったりします。
つまりはあまり細いことは気にしてはいけない系統の作品ということになりはしますが、そのあたりを割りきってしまえばそれなりによくできたラブコメとしてまとまってるとは言えるのではないでしょうか。





posted by lasta at 01:20 | Comment(2) | TrackBack(7) | た行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月23日

ダークナイト ライジング




※ネタバレを含む場合があります。

この映画は。アメコミ・ヒーローの代名詞的存在とも言えるバットマンシリーズの最新作で、バットマン・ビギンズから始まる三部作の完結編となる作品です。

さすがに面白い作品です。
前作以降、街の平和を守るために祭り上げれた虚構であるハービー・デントとその虚構を維持するために悪の汚名を着せられたまま闇に消えたバットマン、そして半ば廃人と化し隠遁生活を送るブルース・ウェインという、一見バットマンというダークナイトを必要としない平和な街が実現したかに見えるゴッサム・シティを舞台に、徐々に勢力を伸ばしていき、ついにはそれまで街の平和を担保していた虚構を破壊し、力と恐怖で街を支配するに至るベインとの戦いが描かれます。

特にベインが成し遂げた革命は価値観の逆転とも言えるもので、それまで虐げられてきた「悪」の側が一転して社会正義と言っていい立場になるという状況において、正義とは何か自分は何をなすべきなのかを考える面白い状況を作り上げていました。

各シーンの見せ方も非常に見事なもので、プロローグのかなりとんでもない要人拉致シーンから始まって、アクションシーンの数々も、その合間の静かなシーンも、非常に印象的で演出も良く、比較的長い映画でありながらその長さを全く感じません。
かなり面白いです。

とはいえ、歴史的傑作と言っていいほどであった前作の完成度には及ばない感じです。
特に気になる点はベインの行動に不可解な点があることで、彼が本当にラーズ・アル・グールの後継者であり遺志を継いでいるのであれば、秩序を回復したゴッサムを破壊する理由など全く無いのです。
さらに言えば、現状のゴッサムの欺瞞を明らかにし、それを正すという目的であれば、革命を成し遂げた時点でそれはかなりのレベルで成功していて、次にやるべきはその運動をゴッサムだけではなく全国的な革命運動にでもしていくことのはずです。
しかし、ベインがやろうとしていたことは(言わばラーズがやろうとしていたゴッサムの粛清を形だけを真似したと言っていい)ゴッサムを破壊することそのものだったわけで、これでは一体何のために長い時間と手間をかけてゴッサムの実権を握っていったのかわからないというものです。
これは結局のところ、革命家という本来善でも悪でもない立場に立ったベインを何としてでも「悪」の側に置いておかねばならないという事情の結果ではあるのでしょうが、このためにベインの行動を本人が語っていた一種の理想とは裏腹の薄っぺらいものにしてしまった感があり、ひいては緻密な計画を立案し、その実行の場面では状況に応じて繊細にも大胆にも行動できる頭脳や大人数を統率できるカリスマ性を持ち、肉弾戦においてもバットマン相手に全く引けをとらないどころかむしろ優勢なくらいの強さを持つ彼の魅力を損なうものにしてしまい、単なるバットマンの引き立て役にしてしまったとすら言えるものなのです。
これでは残念なことに、全く話の通じない狂気そのものであったジョーカーや、法を運用する立場でありながら悪の側に堕してしまったツーフェイスことハービー・デントらを通じて、正義とは何か、法で対応できない悪とどう対峙すべきかということを問いかけた前作と比べれば見劣りしてしまうと言わざるを得ません。

もちろんそれでもかなり面白い作品だということは間違いなく言えます。
バットマン退場後の代替わりを示唆するような場面も多々見受けられ、そして最後には生死不明という形でバットマンが一旦退場したことで、ああこの人が二代目バットマンになるのかぁ…と思っていたら、実はその人が!というちょっと驚きのラストで、アメコミ映画の歴史に名を残すことは間違いのない3部作の幕切れにふさわしいいいものでした。





posted by lasta at 22:23 | Comment(0) | TrackBack(2) | た行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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