2009年08月14日

日本以外全部沈没

鑑賞映画館:DVD
鑑賞日時:8月10日
評価:B

原題:日本以外全部沈没
製作:2006年 日本
監督:河崎実
出演:小橋賢児 柏原収史 松尾政寿 寺田農 村野武範 藤岡弘、

映画生活 goo映画






※ネタバレを含む場合があります。

この映画はタイトルを見てわかるように「日本沈没」のパロディと言えるもので、日本沈没で日本が沈むんなら、こっちは日本以外全部沈めてしまえという話です。
こんな飲み会のネタで終わりそうな話を社会風刺の効いた作品にしてしまえるのが筒井康隆の鬼才ぶりと言ったところでしょうか。
内容的にはタイトルどおり日本以外の主要国が海に沈んでしまうというかなりとんでもない話なのですが、世界を襲うパニックというようなものは殆ど描かれず、あくまで日本視点で世界中から押し寄せる外国人難民との軋轢を描いていきます。

…で、これがまた、かなりきついものがあります。
パロディと言えばまさにそのとおりで、日本沈没の原作(あえて原作とします)が日本民族存亡の危機の中で見せる日本人の美しい部分に焦点を当てているなら、こちらは日本人だけが繁栄を謳歌する中で見せる排他性や傲慢さといった醜悪な部分を戯画的に、そして下品に描き出しています。
はっきり言って見ていてあまり気持ちのいいものではありませんし、パロディと言いながら特別笑える場面があるわけでもなく、ギャグに徹しているような場面も寒さの方が先に立ってしまうような状態で、失笑するしかないような場面が続いていきます。

ストーリーもほぼ皆無で、日本だけが繁栄を謳歌し外人は酷い目に遭っているという状況を描き続けているだけで、全体を通した展開やカタルシスなどというものもありません。
最後の方は一応クーデター騒ぎのようなものもありはするのですが、そんなことなどほぼ無関係に映画は唐突に終わってしまいます。
元が短編小説ということもありこのあたりは仕方の無い部分かもしれませんが、このような内容なら30分ほどの短編としてまとめた方がよかったように思えます。

それと、これはどうでもいいことではあるのでしょうが、SFとしてはかなりデタラメで、設定も描写もつっこみどころだらけです。
なにしろ日本以外全部沈み、エネルギーや食料の確保すらろくにできないであろう状態であるにもかかわらず、そしてうまい棒が10万円というようなとんでもないインフレ下であるにも関わらず、外人が多いこと以外は今の日本と特に変わらない社会体制を維持しているというような世界観だったりするわけです。
スーパーで売ってる変わった食い物の談義を食卓で平和にやってられる状態じゃないだろという感じですが…本当にどうでもいいことですね。

まぁ、こういう映画が世の中に存在することそのものは別にかまいませんし、むしろこのような視点で作られた映画というものは貴重だと言えるかもしれません。
が、どうせやるなら外人コンプレックス持ちの妄想を絵にしただけのような微妙に煮え切らないものではなく、もっと突き抜けた、たとえば「博士の異常な愛情」のようなものにしてほしかったと思ってしまいます。
そういう意味では挿入される特撮ドラマや後半組織されるGATは良かったのですが、このようなノリを全編に渡ってやってくれたらもう少し楽しめたかもしれません。

posted by lasta at 04:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | な行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月12日

日本沈没


鑑賞映画館:DVD
鑑賞日時:8月9日
評価:C+

原題:日本沈没
製作:2006年 日本
監督:樋口真嗣
出演:草なぎ剛 柴咲コウ 豊川悦司 大地真央 及川光博 福田麻由子 石坂浩二

映画生活 goo映画






※ネタバレを含む場合があります。

日本沈没といえば日本列島が突然沈没するというとんでもない状況下でのパニックを描いた小松左京原作の傑作SFで、70年代に原作のみならず映画、テレビドラマも含めて一大センセーションを起こした作品です。
この映画は、この「日本沈没」をガメラやローレライ等で有名な樋口監督が撮ったもので、73年の映画の再映画化ということになります。

…で、ちょっと微妙です。
もちろん大まかな設定等は何しろ日本を代表するSFを下敷きにしてあるだけあって色々言うことはないですし、今回の映画オリジナルで変更された結末も大筋では特に悪いものではありません。
ストーリーの流れも日本列島が沈むという恐るべき事態の発生、次々に起こる大災害、逃げ惑う人々、それでも何とかしようという人たち、そして自己犠牲。何となくアルマゲドンを彷彿とさせるものではありますが、娯楽映画の流れとしては悪くないどころか非常にいいものがあります。
ひとつひとつの場面も(ハリウッドの大作に比べればかなり安っぽいとはいえ)CGを駆使したかなりいい画面が撮れています。

しかし、それでもなぜかいまひとつ面白みに欠けるという印象が先に立ってしまうのです。
問題点は色々感じますが、その中でも特に感じるのは全体に漂う緊迫感の無さと冗長な演出、そして見る側の没入感を妨げる無理やりで突っ込みどころの多い展開です。

おそらくこれは、本来の原作には無いラブストーリーを話の中心に据えて再構築しようとしたものの、あまり成功しているとは言えないものになっていることが主な原因だと思います。
前作と違うコンセプトに立ち、危機的な場面に立ち会った個人を描こうというところに重点が置かれていること自体はかまわないのですが、背景となる日本が沈没しているという状況や、それに対する人々の反応と言った緊迫感を高める描写が非常におざなりにあってしまっていて、とんでもない状況が進行しているはずなのに、そして実際にかなり激しい場面が展開されているのに、全体としては淡々と話が進んでいくという印象が非常に強いものになってしまっているのです。
さらに、そうまでして入れたラブストーリーも、出会いから最後の場面に至るまで説得力が全く無いと言っていいようなもので、はっきり言って無い方がマシな程度のどうしようもないものにしかなっていません。

また、主役を務めた草なぎ剛の朴訥とした持ち味が、この映画に関しては全く合っていないと思えます。
ストーリーの流れから言えば様々な経験を通して自らの使命に目覚めるといったところなのですが、何も考えずにぼーっとしてる間に気がついたら話に巻き込まれて潜水艇に乗ることになってしまっていたように見えてしまうくらいです。
はっきり言って潜水艇の相方役を演じていた(これはこれでミスキャストな感じの)及川光博の方が遥かに適役だったと思えるほどです。

というわけで、「日本沈没」という原作を土台にした日本版アルマゲドンを作ろうとして、主に脚本レベルの問題でその域に達することができなかった失敗作だと思います。
題材や一つ一つの場面を見ていくといいものがあるだけにかなり残念だと言わざるをえません。

N2爆弾や「奇跡は起きます起こしてみせます」、あるいは前作のオマージュのような、わかる人にだけわかる小ネタを入れること自体は嫌いではないのですが、そういうところに力を入れる余裕があるなら、映画としてもう少し何とかしてほしかった、そう思ってしまいます。

posted by lasta at 17:38 | Comment(0) | TrackBack(1) | な行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。