2013年04月16日

プラチナデータ

鑑賞映画館:TOHOシネマズ梅田
シアター1
鑑賞日時:3月26日
評価:B

原題:プラチナデータ
製作:2013年 日本
監督:大友啓史
出演:
二宮和也
豊川悦司
鈴木保奈美
生瀬勝久

水原希子
和田聰宏

映画生活 



※ネタバレを含む場合があります。

この映画は遺伝子情報を元に徹底したプロファイリングと全国の警備システムを連動させた追跡システムによる犯罪捜査が現実のものとなり、殆どの犯罪で速やかな犯人逮捕が可能となった近未来社会で、未解決の連続猟奇犯罪の犯人としてシステム開発責任者の名前が上がり彼が逃亡を図ったことから起こる物語を描いたものです。

基本的には面白い話だと思えます。
凶悪犯として追われている人間を追跡するという話を軸にしながら、多くの状況をミスリードとして使いつつ最後にはシステムそのものの隠された意味、あるいはそれを利用して行われていた犯罪まで明らかにしていくという凝ったもので、しかもそれらがただの複雑怪奇なサスペンスというだけではなく、あくまで特異な人間たちの特異な、しかし同時に純粋な人間関係を主軸に描いているというなかなか素晴らしいものです。

見ている側が思ってしまうような疑問点、たとえば全国民のDNAデータに対してわざわざ「プラチナデータ」というような二つ名を付けはしないだろうとか、人間はDNAで全部決まると主張する主人公に対して資質としてはそうでも実際の性格や行動は経験でかなり変わるだろうと思ってしまうようなところを、映画の中でそれこそポイントになるところできっちりと答えてくれているところなど感動ものですらあります。

最終的には少し話を大きくし過ぎた感も無きにしもあらずといいますか、ありきたりな政府の陰謀話に収束してしまったのが残念ではありますが、まぁこれはこれでいいのではないでしょうか。
そのシステムで探せるのはあくまで現場にいた人というだけでその人が犯人かどうかまではわからないだろうとか、監視カメラに写っている人物の歩き方からそれが誰か絞り込めるという物凄いシステムを作っておきながら容疑者の携帯電話の盗聴も探知もできない間抜さはどうなんだろうとか、設定の甘さも見え隠れはするのですが、そういうところはこの際気にせずにおきましょう。

というわけで基本的には好きな系統の話ですので高評価といきたいところなのですが、どうにもまとまりの悪さが目についてしまうのもまた確かです。
特に、投入された多くの要素、たとえばアメリカの工作員話や、監視カメラに仕掛けられたトリックなど、きちんと描こうと思うとかなりの時間を費やす必要があり、そしてそうであればかなりの見応えがあるものになりそうなものを、ほとんどその場の何かを解決させるための思いつきか何かにしかなっていないところが気になります。

これはやはり、映画という時間的にかなり制約のあるメディアでやるには投入された要素があまりにも多すぎたということではないでしょうか。
このような映画を私はよく総集編的でまとまりが悪いという表現をします。
しかし、この映画に関してはその域にすら達していない、ひたすらとっちらかっただけの映画という感じを受けてしまいます。

そしておそらく同じ理由によるものでしょうが、真犯人の描写がかなり薄くなってしまっていて、その行動も、その狂気もあまり上手く描けていません。
むしろ主人公側が抱えている心的な問題を大きく扱っているためかその印象が非常に薄くなってしまっていて、結局何だったのといった印象すらいだいてしまうくらいです。

そういう意味でかなり残念な思いを抱いてしまいます。
もう少し潤沢に時間を使え、細かいエピソードもそれなりに深く描写することが可能なテレビの連続ドラマという形式でやるべき作品だったということではないでしょうか。





posted by lasta at 21:11 | Comment(0) | TrackBack(10) | は行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月09日

フライト

鑑賞映画館:TOHOシネマズ梅田
シアター2
鑑賞日時:3月1日
評価:B+

原題:Flight
製作:2012年 アメリカ
監督:ロバート・ゼメキス
出演:
デンゼル・ワシントン
ドン・チードル
ケリー・ライリー
ジョン・グッドマン
ブルース・グリーンウッド
メリッサ・レオ
ブライアン・ジェラティ

映画生活 goo映画



※ネタバレを含む場合があります。


重大な航空事故を奇跡的な操縦で最小限の被害に食い止めた英雄である機長。
しかし、事故後の調査で血液中からアルコールが検出されたこで一転疑惑の人へ……というような映画で、予告を見た感じでは航空事故に関する法廷闘争を主に描いたサスペンスものという雰囲気が強かったのですが、実際には全く違う話で、かなりストレートにアル中(及びヤク中)でかなりダメダメなオッサンを描いた作品でした。

まぁ、そういうわけで航空事故はあくまで舞台装置に過ぎず、あくまで機長個人のアルコール中毒と虚飾に満ちた人生からの脱却を描いた作品です。
そう思って見ればなるほどと思える内容ではあります。

重大な航空事故の大きな原因として取りざたされ、もし飲酒を原因とする過失致死と認定されてしまえばパイロットとしてのキャリアを失うどころか終身刑すら現実のものとなりうる勤務前、そして機内での飲酒。しかし、それを認めず事実を隠蔽してしまえば英雄として遇され、自分も会社(組合)も万々歳。そしてそれは同時に自らにも他人にも嘘をつき続けなければならないということでもあるという葛藤を描いた映画です。
なるほどよくできた内容です。

ストーリー展開や描写も割と丁寧ですし、出演陣もかなりいい演技をしています。
映画の内容から見ればほとんど前座扱いではありますが、航空事故の場面の描写が非常に良いことも間違いありません。
よくできた映画だということは間違いなく言えます。

ただし、根幹となるところにアメリカ的、あるいはキリスト教的な価値観が大きく横たわっていることが気になります。
全体の構成としては、アルコールに浸る生活=旧来のアメリカ的な生活=自分も他人も騙し続けることで維持される英雄としての立場と、アルコールから脱却した生活=自分の罪を認め悔い改めて正直に生きる立場を対比させ、元々前者の立場だった機長が葛藤を繰り返しながら最終的には後者の立場を選ぶという筋書きになっています。
これはキリスト教的な価値観を前提にすれば(道徳の教科書的な価値観の押し付け感はあるにしても)かなりわかりやすく筋の通ったものではありますが、アルコールを飲んでの勤務を悪とすることのみを共通の価値観とした日本の視点ではかなり意味不明な言動と場面の多い映画だと感じることが多いのではないかと思われます。
つまるところこの映画は、アメリカの価値観で作られたアメリカ国内向けの啓発映画であって、本来はそれ以上でもそれ以下でも無いと思えるのです。

である以上あまり日本ではお勧めしにくいタイプの映画で、冒頭の航空事故の異様なまでの出来の良さのためにパニック映画として見に来てしまった人がかなり肩透かしを食らってしまうことになるのは、ある程度仕方のないことかもしれません。





posted by lasta at 20:32 | Comment(0) | TrackBack(13) | は行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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