2010年09月13日

レポゼッション・メン


鑑賞映画館:TOHOシネマズ梅田 シアター10
鑑賞日時:7月20日
評価:B

原題:Repo Men
製作:2010年 アメリカ
監督:ミゲル・サポチニク
出演:ジュード・ロウ フォレスト・ウィテカー リーヴ・シュレイバー カリス・ファン・ハウテン アリシー・ブラガ

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※ネタバレを含む場合があります。

この映画は人工臓器が普及した近未来社会で、高額のローン支払いができなくなった者から臓器を回収する仕事を生業とする回収屋を描いた映画で、雰囲気的にはブレードランナーを彷彿とさせるものがあります。

作品が目指すところは高いものが感じられる映画です。
自分の持つ境遇に必ずしも満足できない主人公の葛藤、シュレディンガーの猫に代表されるような哲学性、中国語が街にあふれる近未来世界の描写、そしてアクション。
必ずしも意図しない状況にどんどん巻き込まれていく主人公と、おかしくなっていく状況。そしてその先あるどんでん返し。
何も悪くないどころか、要素としては非常に良いものがあり、うまくいけば新たなブレードランナーか、あるいはさらに良い21世紀初頭を代表するSF映画にすらなり得た感があります。おそらく製作側としてもそれだけのものを作ろうと意気込んで作ったのでしょう。

しかし、残念なことに上手くいっていないのです。
伏線の張り方がおざなりで、どんでん返しも途中でばればれのストーリー。
一見緻密に見えて、実は突っ込みどころだらけの人工臓器ビジネス。
夜の街の出来は見事ながら、夜が明けると現代のアメリカそのものでしかない「近未来」の町並み。
哲学性もそれっぽい言葉を並べてる以上のものはつかめませんし、特に後半は(ストーリー上仕方ないとはいえ)無茶苦茶な展開で薄ら寒いものすら感じられます。

これは一体何なのでしょうか。
意気込みだけが空回りした失敗作。
そう言い切ってしまっていいのかもしれません。
そう言い切った方がいいほどにどうしようもなく中途半端なのです。

そうである以上、この映画を評価するなら「グロばかりが目立つカルト映画」とするしかないのは確かでしょう。
しかし、この作品の要素が非常に良いことだけは認めざるをえないところがあります。
もう少し、ほんのもう少しどうにかしていたら、歴史に残るSF大作になりえた非常に残念な作品、私にはそう思えてなりません。

posted by lasta at 01:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | ら行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月04日

レスラー


鑑賞映画館:TOHOシネマズ西宮OS スクリーン5
鑑賞日時:6月28日
評価:A

原題:The Wrestler
製作:2008年 アメリカ
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ミッキー・ローク マリサ・トメイ エヴァン・レイチェル・ウッド

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※ネタバレを含む場合があります。

ショープロレスは広い意味で格闘技でありながら、勝敗そのものよりもいかにファンを楽しませるかが重要な、むしろ演劇に近いような世界です。
この映画は、このプロレスという名の舞台に人生の全てをかけた男を描く映画です。

…と言うと、ロッキーのようなかっこいい映画のようですが、そうではありません。
主役のレスラーは、かつてはかなりの人気を誇ってはいたものの現在は落ちぶれ、トレーラーハウスの家賃さえ滞るほど困窮してしまっている男です。
長年の酷使のせいか肉体的にもボロボロ、家族とは疎遠で、仲がいいストリッパーの女性にも事情があるとは言え距離を置かれています。
そんな彼を受け入れてくれるのはレスラー仲間、そして試合を見に来てくれるファンたちです。
たとえそれが自らに過大な負担をかける苦難に満ちたものであったとしても、彼にとってそこだけが安住の地だったのです。

そんな彼に重大な転機が訪れます。
心臓発作を起こし死にかけたのです。
これ以上プロレスを続けられないと宣告された彼は、新たな人生として何を選んだのでしょう。

家族でしょうか。
恋人でしょうか。
新たな仕事でしょうか。
それとも、再びリングに上がるのでしょうか。

この映画はどうしようもなく不器用な男の生きざまを乾いた視点で描いたものです。
もし彼が器用だったら、楽な生き方をいくらでもできたでしょう。
少なくとも、家族や愛する女性はもう少しで手の届くところにまで来ていたのです。
しかし、彼が選んだのは結局リングでした。
そこにしか彼の居場所は無かったのです。

哀しい話です。
そしてそうであるが故に胸に突き刺さるものがあります。

この哀しい話をミッキー・ロークがまさに体当たりの演技で見せます。
彼自身の苦難の人生も合わせ、ただの役作りを超えた凄まじいまでの説得力がそこにあります。
そしてこの演技が、低予算映画であるはずのこの映画を傑作の名にふさわしいものへと引き上げたとも言えるのです。

この映画はけっして楽しい映画ではありません。
わかりやすい感動ものの映画でもありません。
しかしそれ以上に人生について考えさせられる素晴らしい作品だと思います。

最期のラム・ジャム。
その時、彼は何を思っていたのでしょうか。
他の全てを捨ててリングの上で生き、リングの上で死ぬことを選んだ彼にとって、他の何物にも替えがたい至福の時だった、そう信じたいものです。

posted by lasta at 02:37 | Comment(0) | TrackBack(1) | ら行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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