2009年04月01日

ワルキューレ

ワルキューレ プレミアム・エディション [DVD]鑑賞映画館:TOHOシネマズ梅田 シアター1
鑑賞日時:4月1日
評価:B

原題:Valkyrie
製作:2008年 アメリカ
監督:ブライアン・シンガー
出演:トム・クルーズ ケネス・ブラナー ビル・ナイ トム・ウィルキンソン

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※ネタバレを含む場合があります。

ワルキューレ(ドイツ語でヴァルキューレ、英語でヴァルキリー)は北欧神話に登場する、戦場に散った勇者の魂をヴァルハラへと誘う半神の乙女の名前です。演劇や小説、最近ではゲームの題材にされることも多く、超音速爆撃機(XB-70)の愛称になったこともあります。アニメ・マクロスシリーズの可変戦闘機につけられた愛称としても有名です。
映画ファンとしては「地獄の黙示録」で印象的に使われたリヒャルト・ヴァグナーの「ワルキューレの騎行」を思い出すのですが、これも北欧神話を題材にした楽劇の為に作られた曲でした。

さて、映画「ワルキューレ」ですが、ここで描かれているのはヒトラー暗殺計画の顛末です。正確にはヴァルキューレ作戦はヒトラー暗殺計画ではなく、その後の権力奪取のための作戦、もっと正確に言えば国内で反乱が起きた際の治安維持を目的として立案された作戦をヒトラー暗殺を目論む集団が権力を奪取するために利用したものですが、広い意味で「ヒトラー暗殺計画」と言って良いでしょう。
主役のシュタウフェンベルク大佐は伯爵位を有する軍人で、反ヒトラー運動に身を投じ、後に歴史に残るヒトラー暗殺未遂事件の実行犯になったことで知られている人物です。現代ドイツでは反ナチ運動の英雄として人気があるそうです。

というわけで史実です。日本ではあまり知られていない気はしないでもありませんが、WW2に関するかなり有名なエピソードでもあります。
歴史のIFに挑戦した映画でもないですので、細かい脚色はともかくとして大枠でのストーリーは動かしようがありません。あくまで歴史の当事者達をどう描くかを評価すべきでしょう。

先に書いてしまうと、サスペンスとしては面白いと思えるできには仕上がってます。ある程度予備知識はあった方がいいとは思いますが、最低限「ヒトラーという独裁者を嫌う人たちがいた」という程度がわかれば、まあわかるとは思います。

主役を務めたトム・クルーズは新興宗教の広告塔と目されることもあるため、熱心なカトリックの信徒であり、そしてその信仰心が暗殺運動への傾倒に大きく関わったとされるシュタウフェンベルグ大佐を演じるには不適当だと指摘されることも無いわけでもないのですが、少なくとも劇中では特に問題があるものでもなく、やや抑え気味ながら内に秘めた情熱や、階級が上のものまでその気にさせるカリスマ性、計画には後から参加しておきながら中心的な立場として計画を実行していく行動力はトム・クルーズだからこそ出せる味なのかもしれません。
あえて難を言えばあまりドイツ人には見えないことでしょうか。

というより、出ている人たちがドイツ軍の服を着ているだけでドイツ人の雰囲気がしない人たちばかりなのです。実際、主要な登場人物でドイツ人俳優が演じている者は少数です。使われている言葉が英語なのもその印象を強めているように思えます。
そして、これは仕方ないのかもしれませんが、アメリカ流の自由と正義が絶対という立場での再解釈も感じられます。
つまりはドイツを舞台にドイツ人を主役にした「アメリカ映画」なのです。もちろんそれは一概に悪いこととは言えませんが、ドキュメンタリー色の強かった「ヒトラー最期の12日間」などとは同列に比較することはできないでしょう。

正直、映画としての作りは微妙です。
何より、ヒトラーがただの小男としてしか描かれていないのが気になります。
確かに現実の彼は小心者の小男だったことは知られていますが、「祖国の敵」としての彼は大衆の前で大言壮語をし、そして祖国を破滅へと向かわせる仇敵だったはずです。それがただの気の弱そうなオッサンでは暗殺の正統性自体に疑問を持たせてしまうでしょう。
他にも全体にあっさりしすぎの感が強いです。
転換点的なゲッベルスとレーマン少佐の会話や電話のシーンはもっと盛り上げるべきだったと思いますし、逮捕直前の銃撃戦の場面もコント番組の銃撃戦レベルのものでしかありません。ラストの銃殺のところなど、細かいカット多用することでかえって何が起こっているのかわかりづらくしてしまい、せっかくの名言の印象を薄くしてしまっています。

というわけで映画のできとしては微妙です。
が、題材がそれ以上に面白いため、サスペンスとしては面白いと言えるのです。

posted by lasta at 22:00 | Comment(0) | TrackBack(2) | わ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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