2013年05月08日

宇宙戦艦ヤマト2199 第五章「望郷の銀河間空間」

鑑賞映画館:大阪ステーションシティシネマ
スクリーン9
鑑賞日時:4月16日
評価:A+

原題:宇宙戦艦ヤマト2199
第五章「望郷の銀河間空間」
製作:2013年 日本
監督:出渕裕
出演:
菅生隆之
小野大輔
鈴村健一
桑島法子




※ネタバレを含む場合があります。

リメイク版ヤマトの特別上映も5回目、今回は旧作で言えばバラン星あたりでのドメル将軍との戦いを中心としたエピソードが描かれます。
今回も、いや今回は今まで以上に素晴らしい!
旧作を少しでも変えたら嫌だという人以外はとりあえず黙って見てみろ、そんな感じです。

全体を俯瞰して書くのはもう無理ですので、各話ごとに書いていきたいと思います。

15話 帰還限界点
ヤマトに対して執拗な攻撃を続けていたドメル艦隊がついにその牙を剥きます。
中性子星がワープに干渉することを見越した上で艦隊を配置、多数の艦隊による多重包囲をしかけるという、WW2の東部戦線を思い出すような重厚な攻撃でヤマトを追い詰めます。
この時の死中に活を求めんと突撃をかけるヤマトと、それを迎え撃つドメルの一騎打ちはゾクゾクするほどの見せ場で、旧作では色々言いながらも奇策を弄することが多く猛将のイメージは(見た目や個人的にやっていることはともかく)あまりなかったドメルが、まさに猛将、まさに猟犬と呼べる凄まじいものでした。
勝負は完全にドメル側の勝ちで、帝国本星からのまさかの緊急通信で作戦が中止されなければヤマトは間違いなく沈んでいたでしょう。
今作のドメルは本当に凄いです。
この時ドメルを帰還させたのは総統暗殺(実際には未遂)の重要容疑者として挙げられたからで、このあたりのエピソードはもしかするとヒトラー暗殺未遂事件とロンメルの関係をオマージュしているのかもしれません。

このエピソードでは冒頭でガミラスで行われた叛乱を親衛隊が殲滅する場面が描かれていました。
その狂気に満ちた殲滅のメロディはガミラスの非情な部分をこれでもかと描き出すとともに、それでも起こる反政府活動などガミラス社会の不安定要素を描き出していました。
もしかすると、今後帝星バレラスで反乱が起き親衛隊が破壊するというような酷いことを(旧作でヤマトがやったことの代わりに)やる大きな伏線になっているのかもしれません。

そしてもう1つ、ユリーシャの意識が百合亜に憑いて、ユリーシャとして語りはじめています。
森雪はユリーシャじゃなかったようですね(笑
それはいいのですが、サラサラっと語っていた中に地球人が思わず作ってしまった大量破壊兵器「波動砲」が宇宙を引き裂くなどと尋常ではない話が混じっていたりします。
同様の兵器(旧作のデスラー砲ですね)をガミラスでも試作しているという話もありましたし、この両者の打ち合いが宇宙そのものに大きなダメージを与えてしまうという流れがあるのかもしれません。


16話 未来への選択
このエピソードではくすぶり続けていたイズモ計画派の反乱がついに起きてしまいます。
反乱といえば旧作ではイスカンダルで藪らがスターシャを人質にイスカンダル定住を要求するという話だったのですが、今回は途中にある惑星ビーメラを舞台に、この惑星が移住可能な星であるという情報を地球に持ち帰ろうというイズモ派による反乱ということにアレンジされています。

正直、このエピソードは描き方がちょっと雑な気がします。
新見が最終的に情に負けてしまい反乱が失敗してしまうことはいいのですが、あらゆるところで唐突な感を受けてしまうのです。
これまでのエピソードの中でもう少し伏線を入れておいた方が…と思えるところは多く、特に新見と真田の関係は、このエピソードを書き始めたあとに思いついたのではとすら思えてしまうほどのものでかなり違和感がありましたし、星名が実はイズモ派の内偵をしていたということなど反乱鎮圧後に自己保身のためにやった言い訳でしかないように見えたりするくらいです。

またこのエピソードでは同時並行でビーメラの調査が描かれていました。
ビーメラ自体はおそらく旧作のビーメラと同じで、そこにいた昆虫型の異星人は旧作のように反乱を起こし、そして15話のオルタリアのような運命を辿ったのだろうと感じさせます。
そしてここで、かつてこの星にもたらされたもう一つの波動コアと、宇宙に張り巡らされた亜空間ゲートによる超長距離移動方法の情報を得ることができるのです。
なんというご都合主義・・・ と言うのはやめておきましょう。
そういうところもヤマトですから。

それにしても、イズモ計画… 滅亡に瀕した地球からの脱出計画というのはそれだけを見れば種魅力のある計画にも思えますが、ガミラス勢力下の星に移住しようとしてどうしようというのでしょうか。
ヤマト計画も成功が望めない計画だというのは確かだとしても、それ以上に成功の望みがない自滅プランのように思えるのですがね。


17話 記憶の森から
このエピソードでは放棄された亜空間ゲートの制御基地に潜入し再起動させるという旧作の宇宙要塞でのエピソードをアレンジしたものが描かれる一方で、真田と新見、そして古代守の過去を描くエピソードです。
これだけ聞くとちょっと退屈そうですが、ガミラス侵攻初期の様子も描かれなかなか興味深い話としてまとまっていました。

旧作の真田は幼少期の事故で手足を無くしているという設定があったのですが、どうもこれはなくなったようですね。
その代わりといっては何ですが、中原中也の詩集を理解しきれないまま読みふけるというスタートレックのデータ少佐的なキャラ付けがされていました。
大量の中性子線を本当にそれで大丈夫なのかと思えるやり方で耐えてしまっていることもあり、本当に普通の人間なのか疑問に思えてくるところは否定できないのですが、まぁこれは穿ちすぎというものでしょうか。

さて、このエピソードの始めの方で、森雪が地球人であることが発表されていました。
ユリーシャとは別人であることがこれで一応完全に明らかになったわけですが、それにしては森雪とサーシャが瓜二つであることが気になります。旧作なら松本キャラのお約束で終わるところではありますのでどうでもいい点なのかもしれませんが、ここまでいろんな矛盾や説明不足なところに細かい説明を入れてきた本作で、劇中でも言及されている雪とサーシャが似ているということについてだけ松本キャラのお約束ということで逃げるとも思えませんし、まださらに何か秘密がありそうです。

さらに言えば、よく考えるとスターシャの姿というものが、イメージ映像的なものでしか出てきていないことに気が付きます。
もしかすると、スターシャを含めイスカンダル人は既に滅んでいて、残されたコンピュータの類がイスカンダルの価値観やDNAを伝えるために、外見上現地人(地球の場合は森雪)のコピーをしたクローン体を宇宙の各地に送っているのでは、そこまで考えてしまうほどです。

そしてもう一つ、実はヤマトはイスカンダルの場所を知らず、ユリーシャの記憶を逆に辿ってイスカンダルに向かっているだけということも明らかになりました。
なんといいますか、わけのわからない理由で宇宙へ旅だった実写版なみの無茶苦茶さです(笑
こんなことで地球防衛の要になりそうな大戦力を無謀な旅に送り出してしまうのもありえない気はしますが、これが死中に活というやつでしょうか。
まぁ、普通に考えたら降伏以外に道は無さそうなので、無謀なプランでも僅かな希望にすがりつきたいというのも理解はできます。

このエピソードでは他にも亜空間ゲートの管理者の名前が「ガミラス」だったということも明かされていたりして、比較的落ち着いたエピソードながらかなり濃い内容になっていました。

18話 昏き光を超えて
バラン星。人工惑星を中心に多数の亜空間ゲートが集まった宇宙の交差点とでも呼べる重要地域にあたるガミラスの一大拠点。
ここで野心を秘めたゼーリックが大規模な観艦式を行います。
それは観艦式の場を借りて行われた権力の簒奪宣言であり、帝星バレラスへ侵攻し自らが軍事力を背景とした新たな指導者になろうというものでした。

ここからデスラー生存の一報とゲールの自己保身によるゼーリック殺害。そして観艦式の大量の艦艇の中に乱入したヤマトによる惑星バランの破壊、そして亜空間トンネルネットワークの破壊に至る流れはまさに怒涛。手に汗を握ることすら忘れてしまうような展開です。

惑星バランといえば旧作では人工太陽を落としてヤマトを破壊するというドメルの策が、総統府からの一報でタイミングを逸し、その間隙に人工太陽を波動砲で破壊されガミラスの拠点であったバラン星基地も喪失するという流れでした。
これを大筋では踏襲しながらも大きくアレンジされて15話のものとは一味も二味も違う大規模艦隊戦として非常に面白い形で描かれているばかりか、波動砲発射時に重力アンカーを切ることで後退の推進力とするというヤマト2で描かれていたエピソードのオマージュと思われるところもあり、さらには旧作でのガミラス軍が冥王星からバラン星、七色星団、ガミラス本星に至る流れの中で何故かどんどん艦隊の存在感がなくなっていっていた(もちろん打ち切りに伴う大人の事情の結果ですが)ことを、観艦式に集まっていた艦艇の壊滅的被害という形で上手く説明することすらできるという感動的なまでに素晴らしいものと生まれ変わっていました。


などというところで、特別上映も残すところあと2回。
ここまで非常に面白い話ですので、ここからクライマックスに至る流れをどうまとめてくるか。本当に楽しみです。






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2013年04月16日

プラチナデータ

鑑賞映画館:TOHOシネマズ梅田
シアター1
鑑賞日時:3月26日
評価:B

原題:プラチナデータ
製作:2013年 日本
監督:大友啓史
出演:
二宮和也
豊川悦司
鈴木保奈美
生瀬勝久

水原希子
和田聰宏

映画生活 



※ネタバレを含む場合があります。

この映画は遺伝子情報を元に徹底したプロファイリングと全国の警備システムを連動させた追跡システムによる犯罪捜査が現実のものとなり、殆どの犯罪で速やかな犯人逮捕が可能となった近未来社会で、未解決の連続猟奇犯罪の犯人としてシステム開発責任者の名前が上がり彼が逃亡を図ったことから起こる物語を描いたものです。

基本的には面白い話だと思えます。
凶悪犯として追われている人間を追跡するという話を軸にしながら、多くの状況をミスリードとして使いつつ最後にはシステムそのものの隠された意味、あるいはそれを利用して行われていた犯罪まで明らかにしていくという凝ったもので、しかもそれらがただの複雑怪奇なサスペンスというだけではなく、あくまで特異な人間たちの特異な、しかし同時に純粋な人間関係を主軸に描いているというなかなか素晴らしいものです。

見ている側が思ってしまうような疑問点、たとえば全国民のDNAデータに対してわざわざ「プラチナデータ」というような二つ名を付けはしないだろうとか、人間はDNAで全部決まると主張する主人公に対して資質としてはそうでも実際の性格や行動は経験でかなり変わるだろうと思ってしまうようなところを、映画の中でそれこそポイントになるところできっちりと答えてくれているところなど感動ものですらあります。

最終的には少し話を大きくし過ぎた感も無きにしもあらずといいますか、ありきたりな政府の陰謀話に収束してしまったのが残念ではありますが、まぁこれはこれでいいのではないでしょうか。
そのシステムで探せるのはあくまで現場にいた人というだけでその人が犯人かどうかまではわからないだろうとか、監視カメラに写っている人物の歩き方からそれが誰か絞り込めるという物凄いシステムを作っておきながら容疑者の携帯電話の盗聴も探知もできない間抜さはどうなんだろうとか、設定の甘さも見え隠れはするのですが、そういうところはこの際気にせずにおきましょう。

というわけで基本的には好きな系統の話ですので高評価といきたいところなのですが、どうにもまとまりの悪さが目についてしまうのもまた確かです。
特に、投入された多くの要素、たとえばアメリカの工作員話や、監視カメラに仕掛けられたトリックなど、きちんと描こうと思うとかなりの時間を費やす必要があり、そしてそうであればかなりの見応えがあるものになりそうなものを、ほとんどその場の何かを解決させるための思いつきか何かにしかなっていないところが気になります。

これはやはり、映画という時間的にかなり制約のあるメディアでやるには投入された要素があまりにも多すぎたということではないでしょうか。
このような映画を私はよく総集編的でまとまりが悪いという表現をします。
しかし、この映画に関してはその域にすら達していない、ひたすらとっちらかっただけの映画という感じを受けてしまいます。

そしておそらく同じ理由によるものでしょうが、真犯人の描写がかなり薄くなってしまっていて、その行動も、その狂気もあまり上手く描けていません。
むしろ主人公側が抱えている心的な問題を大きく扱っているためかその印象が非常に薄くなってしまっていて、結局何だったのといった印象すらいだいてしまうくらいです。

そういう意味でかなり残念な思いを抱いてしまいます。
もう少し潤沢に時間を使え、細かいエピソードもそれなりに深く描写することが可能なテレビの連続ドラマという形式でやるべき作品だったということではないでしょうか。





posted by lasta at 21:11 | Comment(0) | TrackBack(10) | は行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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